スペイン  
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   マドリード トレド ドン・キホーテ ラマンチャ
    アルハンブラ宮殿 バレンシア 聖家族教会
     バルセロナ など
             ス ペ イ ン           
1.はじめに   スペインを駆け足で回ってきました。  フライトはカタール航空で、ドーハ(カタール)で乗継ぎ、マドリードに入  りました。ギリシャとトルコへ行ったときもカタール航空でしたが、今回は  ドーハでの乗継ぎがスムーズだったため、ドーハでの市内観光はありません  でした。  spain-map2.jpg   マドリードからは →トレド →  グラナダ →バレンシア →バルセ  ロナ の順に左回りにバスで移動し、  バルセロナからドーハ乗継ぎで帰国  しました。  (関空・ドーハ間が12時間以上、  スペインまでほぼ1日かかるのには  閉口です) 2.マドリード   快晴のマドリードに着きました。  前日は雨だったそうです。冬は比較的雨が多いそうですが、スペイン滞在中  は快晴に恵まれました。 s-20121208 madrid (01).jpg ←マドリード空港  ↓(天井は木材で飾られている) s-20121208 madrid (02).jpg   プラド美術館、王宮、ドン・キホーテ像の立つスペイン広場などを見学し  ました。   プラド美術館にはスペイン王家のコレクションが展示されています。ベラ  スケス、ゴヤ、エル・グレコ、ピカソなどの作品を堪能しました。現地在住  の日本人ガイドが、ポイントを押さえて要領よく解説してくれました。 s-20121208 madrid (07).jpg ←トレド美術館  ↓ゴヤの像 s-20121208 madrid (06).jpg 3.トレド   翌日、最初にトレドを見学しました。  トレドはマドリードの南西70キロほどの位置にあります。マドリードに首  都が移される(1561年)前の約千年間、かつての西ゴート王国の首都と  して栄えた都市だそうです。   ギリシャ人画家のエル・グレコはトレドで過ごしました。   丘の上の旧市街は城壁に囲まれています。丘の三方がタホ川で囲まれた要  衝の地です。 s-20121209 toledo.jpg   ↑トレド全景 s-20121209 toledo (15).jpg ←大聖堂   ↓丘の下に広がる住宅 s-20121209 toledo (24).jpg   城壁の中の旧市街は、石と煉瓦で固められています。  通路は狭く、晴天の日でも光が路面までは届きません。物資を運ぶ車の運転  は大変です。左右ともに壁との隙間が10センチ位の場所を、サイドミラー  を閉じてバックで車を進入させる巧みなハンドルさばきを見かけました。  s-20121209 toledo (22).jpg ←日陰の通路    ↓荷物の運搬車    s-20121209 toledo (17).jpg   石と煉瓦の街で電気の配線をするのは大変な作業だったでしょう。  しかし、ヨーロッパでは、どこかの国のように、安易に電柱を立てて蜘蛛の  巣を張り巡らすことをよしとはしていません。この旧市街を歩いても、電線  が目に付いたのは僅かでした。 s-20121209 toledo (10).jpg ←配線が少しだけ見える家    ↓(奥は古い風呂屋とのこと)   s-20121209 toledo (11).jpg  電線の地中化に関心のある方は 美しい国 日本の景観 もご覧ください。 4.ドン・キホーテ   スペインの有名な小説として思いつくのは「ドン・キホーテ」です。 s-20121208 madrid (13).jpg   作者のミゲル・デ・セルバンテ  ス(1547年9月29日‐16  16年4月23日)は、数回も投  獄された波乱の人生を過ごし、生  前は作家としてもあまり報われる  ことがなかったようです。  ←ドン・キホーテの像  (マドリードのスペイン広場)   しかし、現在、ユーロの10、20、50セント硬貨でスペイン国内発行  分にはセルバンテスの肖像が刻印され、超有名人の地位を確保しています。   ドン・キホーテの出身地「ラ・マンチャ」は、トレドの少し南、スペイン  の臍にあたる中央部です。セルバンテスが何度か利用したと言われる宿屋を  改造したレストランで昼食を摂りました。 s-20121209 la mancha (4).jpg ←丘の上の風車  ↓ラ・マンチャの平野 s-20121209 la mancha (2).jpg   この地方は標高が600メートル位の高地だそうです。  風が強く、雨が少ないようです。日本人の添乗員曰く「夏は猛暑で地獄、冬  は厳寒で地獄」だとのこと。そのためか、人口密度が低いようです。 s-20121209 la mancha (14).jpg ←セルバンテスゆかりのレストラン   ↓壁に飾られた古い民具  s-20121209 la mancha (10).jpg   ラ・マンチャ地方を南下すると低い山が見えてきました。  平野部から丘陵にかけてオリーブ畑で覆われていました。スペインはオリー  ブの生産量が世界一です。これだけ広大な面積に単一種だけを長い間栽培で  きるオリーブは、神様のご配慮なのかも知れません。    s-20121209 la mancha (15).jpg ←一面のオリーブ畑  ↓ s-20121209 la mancha (16).jpg   オリーブは手作業で収穫されるようです。  スペインには多数のジプシーが住んでいるそうで、オリーブやぶどうの収穫  作業に携わる者も多いようです。   フラメンコはジプシーによって伝承されてきたそうです。  歌とギターと踊りが一体になって、もの悲しさと激しさを感じさせるのは、  ジプシーの苦しい生活が反映されているのかも知れません。 s-20121209 granada (08).jpg ←フラメンコショー(グラナダにて)     ↓    s-20121209 granada (09).jpg 5.アルハンブラ   「アルハンブラの想い出」というギター曲があります。  昔、私はギターに手を出してあえなく挫折した経験がありますが、ギターに  憧れたひとつの理由はこの曲を聞いたことでした。   アルハンブラ宮殿はイスラム勢力が支配していた時代に作られました。  ここは丘の頂上部にあり、暑いグラナダとしては大変涼しい場所だそうです。   キリスト教国によるイスラム支配からの国土回復運動(レコンキスタ)は、  グラナダ陥落で終結しました。1492年、この年初頭にグラナダを奪還し  たスペインは、8月にコロンブスを新大陸発見の航路に送り出し、繁栄の足  掛かりを築きました。  s-20121209 granada (03).jpg ←アルハンブラ宮殿  (後方はシェラネバダ山脈)  ↓アルハンブラ宮殿の夜景 s-20121209 granada (14).jpg   「アルハンブラ」(スペイン語の発音はアランブラ)とは、「赤い城塞」  の意味だそうです。 s-20121210 alhambra (03).jpg ←赤い城壁   ↓水道橋  s-20121210 alhambra (28).jpg   宮殿内のあちこちに水が豊富に溢れています。  砂漠地帯にルーツをもつイスラムの人々にとって、水は最も貴重なものに違  いありません。そこで、数キロメートル以上の水路が敷設され、シェラネバ  ダ山脈の雪解け水が宮殿まで引き込まれています。 s-20121210 alhambra (12).jpg ←水の溢れる宮殿  ↓ s-20121210 alhambra (24).jpg s-20121210 alhambra (36).jpg ←緑の多い庭園   ↓実を残した柿の木  s-20121210 alhambra (31).jpg   スペインでも柿は「kaki」と呼ばれるそうです。  パリとイタリアだったかの市場でも「kaki」と表示されていたのを見か  けたことがあります。ガイドさん曰く「ここ(アルハンブラ)のは渋柿です」  とのこと。甘柿は日本で江戸時代中期に登場したそうです。   甘柿がヨーロッパに普及していないのであれば、輸出振興品になるかも?   グラナダを後にし、畑や山の景色などを眺めながら、バレンシアのホテル  に向いました。 s-20121210 valencia (2).jpg ←カッパドキアに似た山  ↓夕焼けを眺めながら s-20121210 valencia (4).jpg 6.ガウディ   翌朝、オレンジ畑を眺めながらバルセロナに向いました。  スペインでは高速道路の左右に防音壁を見かけず、開放感がありました。   ちなみに、スペインと日本の人口密度を比べてみると、(スペインは人口  が3分の1強、国土面積が約1.3倍、山林を除く平地面積が(推定ですが)  約2倍とみると)平地での人口密度は約8分の1となります。 s-20121211 valencia (01).jpg ←開放感のある高速道路  ↓山の上に林立する風車 s-20121211 valencia (04).jpg   バルセロナでの観光は、ガウディの作品を目当てにする人が多いでしょう。  まず、グエル公園を訪ねました。ガウディが手がけた分譲住宅地が斬新性ゆ  えに挫折し、市の公園となって収益を生んでいます。 s-20121211 barcelona (06).jpg ←回廊    ↓出迎えのトカゲ   s-20121211 barcelona (12).jpg   聖家族教会として知られているサグラダ・ファミリア(聖家族贖罪教会)  は観光の一番人気です。1882年に着工され、今も工事が続いています。   日本人で建築に加わっている人もおられるようです。 s-20121211 barcelona (13A).jpg ←聖家族教会  ↓キリストの生誕を表す彫刻(東入口) s-20121211 barcelona (20).jpg s-20121211 barcelona (26).jpg ←内部   ↓キリストの受難を表す彫刻(西入口) s-20121211 barcelona (30A).jpg 7.バルセロナ   バルセロナで宿泊するホテルは市の中心部にありました。  府庁舎、市庁舎まで徒歩3分位の位置です。この日の夜と翌日の午前中は自  由時間でした。今回、バルセロナでは友人と再会することが楽しみでした。   地下鉄で2駅の所に住んでいる友人がホテルへ迎えに来てくれました。  予約してくれたレストランまで夜の街を歩きました。近くの大聖堂前の広場  に、クリスマス用品の店が列をなしていました。ナラの木(多分)の枝で作  った人形は、クリスマスプレゼントの上に置いてあげるのだそうです。 s-20121211 barcelona (40).jpg ←クリスマス用品の出店   ↓クリスマス用品  s-20121211 barcelona (41).jpg   府庁舎前では、何かに抗議する人たちが声をあげていました。  多分、経済不況に対する不満ではないかと思います。最近の失業率は20%  以上、若者世代は50%近いそうですから大変です。   しかし、彼らは過去の遺産を抱えています。  100年、200年以上使える住宅は、少子化が進むなかで持家への負担は  軽いハズです。医療費は健康保険に入っていれば無料だそうです。増加して  いる年寄りが歩いて買い物できるように、(バルセロナでは)アパートの1  階に小さな店を誘致する補助をし、大型店を規制しているそうです。   彼らは日本で考えているほど深刻には受け止めていないのかも知れません。 s-20121211 barcelona (45).jpg ←街の飾り   ↓府庁舎前のデモ隊  s-20121211 barcelona (38).jpg   友人の奥さんと二人のお嬢さんがレストランで待っていました。  数年ぶりの再開です。二人のお嬢さんはハイティーンになっていました。  友人は数年前から技術者のヘッドハンティングの会社を経営しており、順調  にいっている様子でした。私たちはバルセロナ特産のカバ(スパークリング  ワイン)で乾杯しました。   私は大吟醸の日本酒と手作りのぐい飲みを土産に渡しました。   翌日の午前中、バルセロナの市街を少しだけ散歩しました。  昼間見ても、街の通りは清掃されてきれいでした。今回訪ねた場所はどこも  きれいでした。経済不況の街は汚いだろう、という思い込みがくつがえされ  ました。 s-20121212 barcelona (4).jpg ←コロンブスの塔(港近く)    ↓ホテル近くの通り   s-20121212 barcelona (6).jpg   8.おわりに   食文化の世界無形文化遺産の登録制度があります。  そのひとつとして、スペインを含む地中海料理が登録されています。   バレンシアの代表的な料理である「パエリア」は、地中海料理のひとつか  も知れません。 s-20121210 valencia (6).jpg   バレンシアでパエリアを食べました。  残念ながら、米の味が私の好みではあり  ませんでした。   昔、ニューオーリンズの行列ができる  レストランで、「ジャンバラヤ」を食べ  た時、白米のおいしさに慣れた私の好み  ではない、と感じたのを思い出しました。   今回の旅行先で食べた料理には、どこも生野菜があまりついていませんで  した。   バルセロナを州都とするカタルーニア州の独立が論じられています。 s-20121211 barcelona (32A).jpg   スペインからの独立を主張するのは、歴史的  な背景とともに、スペインの国家収入の25%、  近くをこの州が産んでいるという事情に支えら  れているようです。   バルセロナ市内のビルにあちこちで掲げられ  ている州旗は、独立を要求しているものだそう  です。   ←独立主張の意思表示   今回、全般的な印象として、予想外にどこも街がきれいでした。  観光業をひとつの大きな収入源としているスペイン、という事情が反映され  ているのかも知れません。道路の両側に商業的広告を立てることは規制され  ているそうです。   至る所を電線と広告で飾っている日本と違っていました。              (散策:2012年12月7日〜12月13日)              (脱稿:2013年1月26日)   参考図書・現代スペイン読本 知っておきたい文化・社会・民族 丸善     ・アルハンブラ宮殿 第2版 (旅名人ブックス) 日経BP企画     ・ドン・キホーテ(前篇1)          岩波文庫    -----------------------------------------------------------------        この稿のトップへ  エッセイメニューへ  トップページへ